今回から5回にわたって、本邦において価値ある臨床研究を実施し、エビデンスの高い結果を生み出すための仕組みづくりについての連載を担当させていただきます、国立がん研究センター中央病院の中村健一と申します。がん領域が専門で、循環器領域は専門外ですが、異なる領域からヒントになることもあると思いますので、お付き合いいただければ幸いです。
さて、どんなプロジェクトであっても、前に進めるためには戦略・組織・財務を整合させる必要があります。これは臨床研究についても同じで、良いアイデアを立てて研究計画書に落とし込み、臨床研究を効率的に実施するための体制を組織し、さらに実施のための資金を確保する、こうすればほぼほぼ上手く行きます。こう書くと極めてシンプルなのですが、そうは言ってもこれら難しいことは皆さんご存じの通りかと思います。
では、どうやってこのシンプルなことを実現していけばよいかを5回に分けて語っていければと思いますが、まず今回は初回ということで、昨今の日本の臨床研究力の低下を招いている3つの原因について、マクロの視点で考えてみたいと思います。