Chapter 1_1 | TLeCa
続いて、弁膜症です。
心臓には4つの弁があり、血液の流れをコントロールする役割を担っています。これらが主に加齢などによって開きにくくなったり、閉まりが悪くなることで、心臓の機能が障害される病態を弁膜症と呼びます。弁膜症は徐々に進行し、最終的に心不全を引き起こします。
従来、循環器内科医は、弁膜症の診断と対症療法の心不全管理を担い、弁膜症自体への介入は心臓血管外科が行う手術のみでしたが、近年、大動脈弁狭窄症など一部の弁膜症においてカテーテル治療が可能となり、大きく注目を集めています。
心房中隔欠損症など、従来からカテーテル治療が行われてきた領域と合わせて、Structural Heart Diseaseと呼ばれます。
2018年12月31日の厚生労働省の発表では、約31万人の医師のうち、4%にあたる1万2千人が循環器内科医であるとされています。
主な担当領域は、動脈硬化性疾患、心臓疾患であり、一部静脈関連の疾患もカバーしています。
急性心筋梗塞、大動脈解離、不整脈、急性肺塞栓症など、分単位で生命にかかわる疾患が多い点が大きな特徴となります。これらの急性期疾患では、迅速な診断、対応を行う能力が必要とされます。
また一方で、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病、慢性心不全などの慢性疾患の管理も担っています。これらの患者へは、薬物療法のみでなく、食事・運動療法の指導が必要となり、患者との関係構築能力が試される領域でもあります。
このように循環器内科医は、超急性期から慢性期までと幅広い診療技術が必要とされる診療科と言えます。
虚血性心疾患は、狭心症や心筋梗塞など、心臓を栄養する冠動脈が循環障害を起こすことで生じる疾患群です。
心筋梗塞は、ひとたび発症すると、分単位で心筋壊死を引き起こし、通常、冷や汗を伴う強い胸痛が出現します。
ときに致死的な不整脈を誘発して死に至る疾患でもあり、突然死の主要な原因の1つであることがわかっています。
この急性心筋梗塞に対応できるよう、基幹病院では24時間、緊急カテーテル検査、治療ができるよう体制が組まれています。
生命の危機に瀕している患者を、自身の手技によって救うという診療にやりがいを感じる医師も多く、循環器内科の醍醐味とされることが多い領域です。
心不全は、なんらかの原因によって、心臓のポンプ機能が十分機能せず、息切れ、むくみなどを発症する疾患群の総称です。
虚血性心疾患の他、慢性高血圧、弁膜症、不整脈、感染症など、様々な疾患が心不全の原因になる可能性があり、高齢化とともに日本における患者数も増加傾向です。2020年時点で、約120万人の心不全患者がいると推測されています。
心不全は原因を治療することができれば、根治する場合もありますが、原因が不可逆的な場合が多く、塩分制限などの食事療法、利尿薬などの薬物療法の生涯継続が必要となることが多い疾患です。
また、心不全は年単位で進行し、ときに致死的な不整脈を引き起こし突然死することが知られていましたが、β遮断薬、ACE阻害薬などの薬剤がこれらの進行を予防することが判明し、予後改善に大きく寄与しています。
心不全は患者数も多く、薬物療法、食事療法が主体となるため、その診療は循環器内科医の基礎スキルとなります。
不整脈は正常でない脈の総称ですが、治療が不要な期外収縮から、突然死を引き起こす心室細動まで様々なものが含まれます。
不整脈診療においては、多くの治療が不要な不整脈の中から治療が必要な不整脈を選別することが、循環器内科医の最初の役割となります。
1991年のCAST試験、2002年のAFFIRM試験などから、薬物で不整脈を抑えることが必ずしも予後を改善しないことが示されてきており、不整脈治療における薬物療法の占める割合は以前より減少してきています。
一方で、1960年頃から、ペースメーカー、ICDなどの植込み型デバイスの使用が可能となり、致死的な徐脈、頻脈を有する症例の予後改善に大きく寄与しています。
そして、1995年以降、心房細動を中心にカテーテルアブレーション治療が日本でも急激に広まりました。心室頻拍、Brugada症候群など、致死的な疾患におけるアブレーション治療の有効性も示されてきており、今後ますます発展が期待される領域です。
続いて、弁膜症です。
心臓には4つの弁があり、血液の流れをコントロールする役割を担っています。これらが主に加齢などによって開きにくくなったり、閉まりが悪くなることで、心臓の機能が障害される病態を弁膜症と呼びます。弁膜症は徐々に進行し、最終的に心不全を引き起こします。
従来、循環器内科医は、弁膜症の診断と対症療法の心不全管理を担い、弁膜症自体への介入は心臓血管外科が行う手術のみでしたが、近年、大動脈弁狭窄症など一部の弁膜症においてカテーテル治療が可能となり、大きく注目を集めています。
心房中隔欠損症など、従来からカテーテル治療が行われてきた領域と合わせて、Structural Heart Diseaseと呼ばれます。
2018年12月31日の厚生労働省の発表では、約31万人の医師のうち、4%にあたる1万2千人が循環器内科医であるとされています。
主な担当領域は、動脈硬化性疾患、心臓疾患であり、一部静脈関連の疾患もカバーしています。
急性心筋梗塞、大動脈解離、不整脈、急性肺塞栓症など、分単位で生命にかかわる疾患が多い点が大きな特徴となります。これらの急性期疾患では、迅速な診断、対応を行う能力が必要とされます。
また一方で、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病、慢性心不全などの慢性疾患の管理も担っています。これらの患者へは、薬物療法のみでなく、食事・運動療法の指導が必要となり、患者との関係構築能力が試される領域でもあります。
このように循環器内科医は、超急性期から慢性期までと幅広い診療技術が必要とされる診療科と言えます。
虚血性心疾患は、狭心症や心筋梗塞など、心臓を栄養する冠動脈が循環障害を起こすことで生じる疾患群です。
心筋梗塞は、ひとたび発症すると、分単位で心筋壊死を引き起こし、通常、冷や汗を伴う強い胸痛が出現します。
ときに致死的な不整脈を誘発して死に至る疾患でもあり、突然死の主要な原因の1つであることがわかっています。
この急性心筋梗塞に対応できるよう、基幹病院では24時間、緊急カテーテル検査、治療ができるよう体制が組まれています。
生命の危機に瀕している患者を、自身の手技によって救うという診療にやりがいを感じる医師も多く、循環器内科の醍醐味とされることが多い領域です。
心不全は、なんらかの原因によって、心臓のポンプ機能が十分機能せず、息切れ、むくみなどを発症する疾患群の総称です。
虚血性心疾患の他、慢性高血圧、弁膜症、不整脈、感染症など、様々な疾患が心不全の原因になる可能性があり、高齢化とともに日本における患者数も増加傾向です。2020年時点で、約120万人の心不全患者がいると推測されています。
心不全は原因を治療することができれば、根治する場合もありますが、原因が不可逆的な場合が多く、塩分制限などの食事療法、利尿薬などの薬物療法の生涯継続が必要となることが多い疾患です。
また、心不全は年単位で進行し、ときに致死的な不整脈を引き起こし突然死することが知られていましたが、β遮断薬、ACE阻害薬などの薬剤がこれらの進行を予防することが判明し、予後改善に大きく寄与しています。
心不全は患者数も多く、薬物療法、食事療法が主体となるため、その診療は循環器内科医の基礎スキルとなります。
不整脈は正常でない脈の総称ですが、治療が不要な期外収縮から、突然死を引き起こす心室細動まで様々なものが含まれます。
不整脈診療においては、多くの治療が不要な不整脈の中から治療が必要な不整脈を選別することが、循環器内科医の最初の役割となります。
1991年のCAST試験、2002年のAFFIRM試験などから、薬物で不整脈を抑えることが必ずしも予後を改善しないことが示されてきており、不整脈治療における薬物療法の占める割合は以前より減少してきています。
一方で、1960年頃から、ペースメーカー、ICDなどの植込み型デバイスの使用が可能となり、致死的な徐脈、頻脈を有する症例の予後改善に大きく寄与しています。
そして、1995年以降、心房細動を中心にカテーテルアブレーション治療が日本でも急激に広まりました。心室頻拍、Brugada症候群など、致死的な疾患におけるアブレーション治療の有効性も示されてきており、今後ますます発展が期待される領域です。
続いて、弁膜症です。
心臓には4つの弁があり、血液の流れをコントロールする役割を担っています。これらが主に加齢などによって開きにくくなったり、閉まりが悪くなることで、心臓の機能が障害される病態を弁膜症と呼びます。弁膜症は徐々に進行し、最終的に心不全を引き起こします。
従来、循環器内科医は、弁膜症の診断と対症療法の心不全管理を担い、弁膜症自体への介入は心臓血管外科が行う手術のみでしたが、近年、大動脈弁狭窄症など一部の弁膜症においてカテーテル治療が可能となり、大きく注目を集めています。
心房中隔欠損症など、従来からカテーテル治療が行われてきた領域と合わせて、Structural Heart Diseaseと呼ばれます。