.png)
福岡和白病院の診療実績や体制について教えてください。医局とのつながりについてはいかがでしょうか。

福岡和白病院では、現在11名のスタッフで診療にあたっています。PCIは年間約500例を治療しており、EVT約250例、アブレーション約150例と症例数は増加傾向にあります。その他、TAVR47例、MitraClip(僧帽弁形成術)7例、左心耳閉鎖術(Watchman)29例、PFO(卵円孔開存)閉鎖術5例と構造的心疾患(SHD)へのカテーテル治療にも積極的に取り組んでいます。
その他、当院独自の取り組みとしては、PCIでは芹川部長が積極的にCHIP症例に取り組んでおり、CTO治療も良好な成績を収めています。不整脈担当の野口部長は、アブレーション歴30年の大ベテランですが、心房細動アブレーションでは最新のパルスフィールドアブレーションも取り入れ、積極的に治療を行っています。EVT担当の伊元医長は通常の単純・複雑EVT手技のみならず、外科的・内科的血行再建が困難な高度慢性下肢虚血患者に対して、経皮的深部静脈動脈化術(pDVA)を実施しているほか、難治性下肢潰瘍に対してはMagot治療も積極的に取りいれています。SHD部門では人工弁周囲逆流(PVL)に対するカテーテル治療は部長の有田が前任の九州大学病院時代からライフワークとして取り組んでいることもあり、現在九州では唯一のOcclutech PLDデバイスを用いたカテーテル治療実施施設となっています。
医局とのつながりはほとんどありません。私は九州大学の医局に属しており、そこから若手のスタッフを毎年1~2名派遣してもらっていますが、部長の野口先生や芹川先生は福岡大学出身で、他のスタッフも琉球大学、佐賀大学、長崎大学と出身に関わらず集まってもらっています。医局に縛られない優秀な人材が集まるような梁山泊のような組織にしたいと思います。当院は内科専門医研修プログラムも1枠有しており、現在3人の後期研修医が研修しています。
若手循環器内科医の育成の上で、意識されていることがあれば教えてください。
私が若い頃は、診断カテを数百例してからPCIをやっとさせてもらえるという風習がありました。いまでは冠動脈CTの進化により圧倒的に診断カテの数が減っていますので、当院では後期研修医1年目(医師3年目)から診断カテをしていただき、半年ほど経過頃からType Aの簡単なPCIはしてもらうようにしています。
Complex PCIはもちろんですが、SHDやペースメーカー植込みなど様々な手技に若手にも携わってもらうようにしています。例えば、Watchmanでは術者も経食道エコーもやってもらい、一通りの経験をしてもらいます。
また、診療科を超えた全身を診る臨床力を養うこともスタッフ一同、意識しています。敗血症や急性腎不全、重症膵炎などの集中治療が必要な患者さんは循環器内科で率先して診療に当たっています。COVID-19のECMO管理なども当科で行っております。その他にも、当院では先々代の齋藤太郎先生主導のもと、 平成23年に心臓・脳・血管病センターを立ち上げたこともあり、脳神経外科との連携が非常に密です。Watchman適応症例を脳神経外科から紹介してもらうことも多いですし、脳外科の方では頸動脈ステント(CAS)の際にIVUSやOCTを使用したり、IVL(保険外使用)を使用するなど非常に先進的な治療が行われています。
臨床以外の面での教育体制について教えてください。
院内では毎週、最新の文献を取り上げる抄読会を開催し、スタッフ全員が新しい知見をアップデートできるよう心がけています。また、院外ではグループ内の8病院とも定期的に症例検討会を行い、外からの刺激も得られるようにしています。学会発表も若手を中心に積極的に行っております。
こうした総合的な診療体制・経験が、若手の多角的な学びやキャリア形成にも大きく寄与すると考えています。
働き方改革の取り組みがありましたら、教えてください。
_group.png)
当院の取り組みで今、最も誇らしい点の一つになりますが、医療DX(デジタルトランスフォーメーション)に注力しており、電子カルテをスマートフォンで活用できる体制が構築できています。
具体的には、患者さんのカルテやPACS(画像管理システム)をスマートフォンアプリと連動させ、検査結果を手元で確認できるようになりました。また、看護師とのやり取りも電話ではなく、メッセージで行えるようになっています。以前は、「医師がなかなか指示をくれない」、「電話をかけるのが憚られる」などの声がありましたが、メッセージを活用するようになってからは指示出しが効率化され、非常に好評です。
次は、AIの導入による退院サマリーの自動化を検討しています。急性期病院としてはまだまだ珍しい試みとなりますが、積極的に推進していくつもりです。
TCROSS NEWS導入のきっかけ、利用状況について教えてください。
もともとスタッフが個別にTCROSS NEWSを利用しており、科内でもときどき話題には上がっていました。ちょうど予算に余裕ができたタイミングで、せっかくなら有効活用しようという方針となり、グループ登録を決定しました。 学会速報などの有料コンテンツがこれまで見られなかったスタッフも含めて自由に閲覧できるようになり、 情報収集の効率化に役立つと思います。また豊橋ライブなどの提携ライブも学びが非常に多いため、若手には積極的に視聴するように声をかけています。
今後、TCROSS NEWSに期待することを教えてください。
コンテンツは見やすく、信頼でき、非常に良くできていると感じています。できれば、X(旧Twitter)などを活用した情報配信をさらに強化してもらうことで、 現場の情報収集をより効率化できるのではないでしょうか。これからも臨床の現場の役に立つ情報配信を期待しています。