
「週間ランクイン記事を読み解く」1週間分まとめ読み ~2022年3月12日-3月18日~
【一般注目ニュース】
[海外ニュース]
ロシアのウクライナ侵攻に伴う物価高騰
ロシアがウクライナに侵攻したことで世界中の物価が高騰しています。以前より物価上昇が話題になっていましたが、戦争がそれに拍車をかけました。アメリカの消費者物価指数(CPI)は3月に8%台に到達し、1982年以来40年ぶりの高まりとなっています。日本もこれまで長年のデフレ傾向にありましたが、3月8日付の日本経済新聞によると物価上昇率が2%に迫りつつあるようです。これは経済が成長しているのではなく、主な理由としてはロシアのウクライナ侵攻で原油や穀物が歴史的な水準にまで上昇しているからです。戦争が長引きロシアとの貿易が縮小すると、需要と供給のバランスが崩れ、さらなる物価の上昇につながると考えられます。3月13日にG7が最恵国待遇を取り消し、ロシアとの貿易制限を拡大することを報道しました。日本もこの中に含まれています。
財務省の「貿易統計」によると、2021年のロシアからの輸入額は1兆5,431億円です。ロシアからの輸入品というと液化天然ガス(LNG)、非鉄金属、石炭、原油・粗油、魚介類などが挙げられます。一方で、日本からの輸出は前年の37.4%増の8,624億円で、主な品目は自動車や自動車関連部品等、そして、原動機、ゴム製品、建設用・鉱山用機械です。こうしてみるとロシアが天然資源、我が国は自動車や機械等、主に機械製品を輸出している構造が分かります。政府がロシアの最恵国待遇を取り消すと輸入品に高い関税がかけられます。日本経済新聞ではタラバガニの関税価格を例に挙げ、この待遇が取り消されると関税が4%から6%に上がると伝えています。カナダは、実質全品の関税が35%になるということです。
こうなるとロシアからの輸入品を買う意欲が失われます。ロシアに対する経済制裁は制裁を行っている国の物価上昇につながり、国民にまで影響を及ぼします。物価の上昇に賃金の上昇が追いつかねば、貧困層が増えていきます。ロシアに経済制裁は、同時に先進国の国民の経済をも痛めつけることになります。誰にとっても得にならない、この侵略戦争が一日も早く終結することが全人類の願いでもあります。
[国内ニュース]
東日本大震災から11年
2011年3月11日14時46分頃に発生した東北地方太平洋沖地震から11年が経過し、3月11日には各地で当時の記憶を伝える行事が行われました。この震災では東北地方を中心に2万人に近い死者・行方不明者が出ており、余震が起こるたびに多くの人が恐怖を感じました。
東北地方の先生方は昼夜を問わず被災者の対応に追われ、全国から現地に入られた先生方もいらっしゃいました。そのような中で我々TCROSS NEWSでは、少しでも頑張っている先生方のお力になれるよう世界のカテーテルインターベンション領域の先生方より応援メッセージをいただくことができました。以下、当時集まったメッセージを掲載します。

このメッセージは、ヨーロッパCTO クラブから日本の仲間へお送りします。我々は多くの日本の方々が非常に大変な状況におかれていることを承知しております。
ヨーロッパCTO クラブは、日本の仲間、その家族、更に日本の皆様方とこの悲しみを共有いたします。そして、国家的組織を通じてサポートすることを約束します。もし、我々にさらなるお手伝いができるのであれば、いつでもお知らせください。

困難に直面されている日本の皆様方に心よりお見舞い申し上げると同時に、私たちと日本との強い絆、また強い支持をお伝えします。日本の状況の進展を逐次見守っております。
このような災害時においても日本は、勇気、回復力、前例のない効率性、そして揺るぎない信念について世界中に見本を示してくれています。我々の思いは皆様とともにあります。


日本の皆様方に心よりお見舞い申し上げます。この度日本を襲った言葉にできないほど痛ましい災害に深く心を痛めています。皆様方が受けたショックと悲しみは計り知れません。
長年にわたり多くの日本人カーディオロジストと強い絆で結ばれてきた私にとって、悲しみは大きく、何よりもカーディオロジーの進歩に携わってきた友人やエキスパートの先生方の安否が心配でなりません。
しかしながら、再建に対する皆様一人ひとりの惜しみない努力は希望であり、日本が不屈の精神でこの災害にも立ち向かえることと信じています。
世界中が日本をサポートしていることを忘れないでください。私たちは皆様のことを常に思い、日本が一刻も早く安全に復興することを祈っています。

世界中が東北地方、そして日本全国を襲った大きな災害に心を深く傷めています。
困難な状況下での悲しみと助け合いの時期は続くかもしれませんが、複数の恐ろしい災害の直後でも、日本の方々は世界に模範となる勇気、規律、そして協調性を示し ています。
今後何ヶ月にもわたり、日本にいる友人達は親族や日本人の皆様のケアに全力であたられることと思います。我々、世界中の同僚は深く強い絆により、常に皆様を後押しします。私たち全員が皆様を見守り、心の支えにしかなれなくとも、手伝えることが あればいつでもサポートすることを忘れないでください。

悲しみや苦悩に満ちた現在も、私の心は医療に携わる同僚や企業の皆様とともにあり、この度の災害に立ち向かう皆様方に私の祈りが届きますことを願っています。
カテーテルインターベンション領域は日本と世界との距離が近く、つながっています。当時、このように日本への思いを伝えてくださる世界の先生方がいらっしゃることそのものに勇気づけられました。これからもTCROSS NEWSは日本と世界の橋渡しをしていこうと思います。
【新型コロナウイルス関連】
3月12日(土)の全国の感染者数は55,328人と1週間前の63,673人と比べて、8,345人減少しています。東京都も9,164人と1万人を下回りました。東京はまん延防止等重点措置期間ではありますが通勤時間には多くの人が乗車しています。3月12日時点の死者数は141人と200人を下回りました。一方で3回目のワクチン接種はまだ進んでいるとは言えません。3月12日、政府が3回目の接種から6ヶ月以上の間隔を空け4回目のワクチン接種を行う検討に入ったことが報道されました。読売新聞オンライン版によると、「政府は3回目接種の全対象者分を上回る1億2820万回分のワクチンの配送を4月末までに終える」計画を発表しているそうです。イスラエルでは4回目の接種を早い時期から行っていますが、その効果がどの程度なのかは明確にはされていません。国内では追加接種した人の割合が3月12日時点で28.39%と先進国の中では最も低く、アジアの中でも韓国、中国、タイ、マレーシアなどよりも低い接種率となっています。
アメリカの研究者らがLancet誌で発表した研究では、世界191ヶ国と地域を対象に実際の死亡者数を調査した結果、COVID-19による実際の死亡者数は報告されている死亡者数の約3倍であることが伝えられました。2020年1月から2021年12月までの2年間に新型コロナウイルスで死亡した人は全世界で594万人と報告されていますが、この研究からはその数は1,820万人と推定され、中南米や欧州、サハラ以南アフリカの低所得者の多い国で超過死亡が多いことが報告されました。世界ではより多くの人が新型コロナウイルス感染で亡くなっている可能性も否めず、今後も日々の研究で新しい見解が出てくると推測されます。
それでは、以下、週間ランキングを紹介します。