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「週間ランクイン記事を読み解く」1週間分まとめ読み ~2022年5月21日-5月27日~

2022 5.21   5.27

【一般注目ニュース】

[海外ニュース]

マクドナルド、ロシアから撤退
アメリカのマクドナルドは、5月16日付でロシアから恒久的に撤退することを発表しました。マクドナルドはロシアのウクライナ侵攻を受け、今年3月にロシア全土にある850店舗を一時的に閉鎖していました。BBCによると撤退の理由は「ウクライナでの戦争による『人道危機』と『予想できない運営環境』が決定打となったと説明しています。同社は1990年にモスクワに第1号店を出店し、冷戦終結の象徴として歓迎され、世界中で明るいニュースとして捉えられました。この1年後にソビエト連邦が崩壊、ロシアがグローバル企業に自国の市場を開放したきっかけにもなりました。今回はマクドナルドがロシアに与えた影響を1990年代に遡って考えてみました。

マクドナルドのロシア国内第1号店は、1990年1月31日にオープンしました。モスクワのこの時期の気温は-11度から-5度です。寒空の中、第1号店にはビックマックを求めて行列ができました。当時の報道では、モスクワの中心部のプーシキン広場にできた列は数キロメートルにも及んだとのことです。ロシア政府系ネットメディアのRussia Beyondが2019年2月3日に特集した「ソ連のマクドナルド第1号店がいかにロシア人を熱狂させたか」によると、マクドナルドのオープニングスタッフには、ソ連時代の若者の中でも限られた超一流の人材、すなわち「名門大学に通っていて、外国語が使いこなせ、きめ細かなサービス精神を持った学生のみ」が選ばれていました。当時ロシアには「サービス」という概念はなく、来店した客に笑顔を提供するという習慣がありませんでした。Russia Beyondによると、「これは、冷たく、高慢で、笑顔を見せない従来までのソ連式サービスとは明らかに一線を画していた」とのことでした。その当時のソ連には「サービス」というものがなく、レストランで何かオーダーしても何を持ってきたかも伝えない「運び人」に慣れていたので、このマクドナルドの「ようこそマクドナルドへ」と笑顔で迎えることにカルチャーショックを受けました。我々日本人にとって「サービス」は当たり前ですが、当時の共産国ではそれが普通ではなかったようです。これを意識してか、アメリカや日本では90年代にファーストフード店に行くと掲示板のメニューの中に「Smile $0」というものも目にしました。

アメリカは「サービス大国」であり、レストランに行くと「Welcome to 〇〇」と満面の笑顔で迎えられます。もちろん、その背景にチップの習慣があるのは言うまでもありませんが、アメリカ人は文化として常に笑顔を絶やさないようにしています。その文化がロシアに持ち込まれ、マクドナルドのオープニング当初のスタッフは笑顔作りから教育を受けました。2020年1月27日付の東京新聞によると、求人広告を見て応募してきた人は2万2,000人で採用枠は600人だったそうです。面接の中でもっとも回答に困った質問が、「4時間続けて、笑顔でいられますか」というものでした。ロシアでは「意味なく笑うのは馬鹿な証拠」ということわざもあり、常にこわばった氷のような表情を保つことが習慣としてありました。それ故、マクドナルドの笑顔のサービスが最初は受け入れられずに「気味が悪い」という人も現れ、お客さんの不安を和らげるために、しばらく経つとマニュアルは少し笑顔を抑えるようにと変わったほどでした。このような歴史を経て30年、西側との融和の象徴であった850店舗のマクドナルドが撤退するというのは残念、且つこの先の世界の動向を心配せざるを得ません。

米系ベンチャーキャピタル、医療特化型ファンドの立ち上げ
5月21日の日本経済新聞より、「米VC、医療特化ファンド~3,800億円 新薬など、日本にも投資~」という記事が目に留まりました。アメリカの大手ベンチャーキャピタル(VC)であるアーチ・ベンチャーパートナーズが医療に特化したファンドを立ち上げ、「30億ドル(約3,800億円)を新薬開発やゲノム編集に振り向け、日本企業への投資も本格化する」とのことで、同社の集めた資金の一部が日本に回ることにより、「国内の医療スタートアップの底上げにつながる可能性」があることが伝えられました。今後は投資先の選定などを行う予定で、「ゲノム編集や新薬開発、細胞治療などの先端技術を持つ企業を中心に3‐4年で40社程度に投資」を実施するそうです。

昨今は日本でも医師が起業したり、大学発のベンチャーが立ち上がるようになりました。一昔前は起業に必要な資金調達というのは、個人の資産や親戚などから借りてくるのが一般的でした。銀行は実績がない会社や人に融資はしないため、素晴らしいアイデアや可能性のある事業も断念せざるを得なかったのですが、日本でもVCが現れ、新規事業に可能性を見出してベンチャー企業に対して資金を提供する時代になりました。これまではIT業界への投資が多かったのですが、最近は医療系のVCも増え、そこには大きな資金が動いています。

それではVCとはいったい何なのでしょうか。彼らはどうやってお金を集めて、何を目的に創業間もないベンチャー企業に投資するのでしょうか。VCについて調べてみました。

SMBC日興証券の「初めてでもわかりやすい用語集」によると、VCとは「未上場の新興企業(ベンチャー企業)に出資して株式を取得し、将来的にその企業が株式を公開(上場)した際に株式を売却し、大きな値上がり益の獲得を目指す投資会社や投資ファンドのこと」を指します。一般的には、VCがベンチャー企業に投資することが決まれば、経営に長けた人を取締役に送り込み、経営の指導をします。ベンチャー企業の経営者の多くは若くして、経験も金もコネもなく起業するので、資金が調達できずに終わってしまいます。また、コネがなければ、商品の開発に足りない部分をどのように補うのかもわかりません。そんな時にVCは、ベンチャー企業の商品やサービスに可能性があると判断すれば、その会社に出資し株式を一部取得、資金の他にもその企業に足りない人材やものまでも調達します。そして、その会社を上場させ株式を売却します。すなわち、企業を育てて市場に出し(株式公開)、その売却益(キャピタルゲイン)を得るというビジネスです。VCは上場させるまでの役割ですので、そこで彼らは投資先のベンチャー企業から“エグジット(Exit)”します。

資金の調達には、銀行からの負債(デット)とVCなどからの資本(エクイティ)があります。前述したとおり、銀行はベンチャー企業に資金を提供する可能性は少なく、提供したとしても会社の代表が保証人となり、会社が倒産しても返済できる金額しか貸しません。その一方で、VCはその企業の可能性にかけ、3年-7年の間に上場させることを目指して投資します。VCが資金を提供する場合は、その企業を○○年後に上場させると目標を定めて、それまでに何をすべきか逆算していきます。そして、どれくらいの利益が得られるのか(企業価値)を推定して投資します。もちろん、VCにとってそれは大きな賭けであり、ハイリスク、ハイリターンの投資です。その資金は一般投資家や機関投資家から集められます。VCは投資家から集めた資金を1社や2社ではなく、たくさんの可能性のある会社に投資します。このことをポートフォリオと言います。たくさんの会社に投資するので、例え投資先が倒産しても残りの何社か上場させれば莫大な利益が得られ、投資家にリターンとして売却した利益を分配します。もちろん、投資家は利益を得るために投資しますので、VCがベンチャー企業の目利きを誤ってばかりいれば、そのVCにはお金を預けません。すなわち、VCは倒産です。

これまで、医療系ベンチャー企業は当たると大きいのですが、その確率が低かったのでVCからも避けられてきました。再生医療や遺伝子治療などの新しい領域となればなおさら、その会社の技術を正当に評価できる人がおらずリスクが高いと判断される傾向にありました。それが今になって医療に目が向けられたのも、IT業界が成熟し、それに代わる良い投資先がなくなったからといえるのではないでしょうか。なお、VCからのエクイティファイナス(株式発行による資金調達)は、ベンチャー企業の経営者にとっては倒産しても負債にはなりませんが、上場した場合に得られるキャピタルゲインの多くはVCを通じて投資家にマージンを付けて分配されるので、そのあたりを十分理解してVCから資金調達を行うことをお勧めします。

【新型コロナウイルス関連】

ワクチン4回目の接種が始まる
5月25日より、新型コロナウイルスワクチンの4回目の接種が開始されました。3回目の接種から5ヶ月経過した方のうち、対象は当面の間、60歳以上の他、基礎疾患を持つ18歳以上の人や医師が重症化リスクが高いとみなした人、としています。

NHKのまとめによると、5月21日に全国で新たに確認された感染者数は35,922人とのことでした。主要都市では東京が3,464人、大阪が3,030人、愛知が2,277人、福岡が2,003人、首都圏では埼玉が1,157人、千葉が1,001人、神奈川が1,816人と1,000人を超えています。空港検疫などで63人の感染者が報告されていますので、海外との行き来が徐々に増えている中では気になるところです。航空会社各社は安全対策に務めています。全日空(ANA)のサイトを見ると空港のカウンター、保安検査場、ラウンジ、搭乗口、機内でどのような安全対策を行っているのかを紹介するページが設けられています。一方、欧米ではコロナ感染に対する意識は異なります。今年のEuroPCRはオンラインで視聴しましたが、マスクを着用していない参加者が目立ちました。狭い場所でマスクをせず、距離も保たれていない様子を見ると、日本の航空会社が対策したとしても「コロナフリー」いう状況にはならないでしょう。やはり、今後はコロナと共存するというスタンスが必要となるように思えます。

それでは、以下、週間ランキングを紹介します。