浜松医科大学医学部附属病院
茂木 聡 氏
浜松医科大学医学部附属病院
津崎 江美 氏
症例
70代 女性
主訴
両側間欠性跛行(約半年前~)
既往歴
難治性高血圧(30代~)、
機能的片腎、
糖尿病、
脂質異常症、
慢性腎臓病(CKD)
内服
ドキサゾシン6mg、
ニフェジピン60mg、
アスピリン100mg、
アトルバスタチン10mg
オルメサルタン20mg、
グアナベンズ2mg
喫煙歴
なし
ABI
R/L 0.52/0.50
当院への転院4週前にCKD合併のCS1心不全で前医へ入院となり、利尿剤を投与され、当初利尿は良好であったが、第4病日より尿量低下、FEUNや身体所見から脱水が疑われて利尿剤が中止された。しかし、その後も体重は増加し続け、利尿剤が再開されたものの、肺水腫が出現し緊急ECUMを導入、その後、尿毒症症状が出現し、5日後には透析へ変更された。
単純CTで左腎動脈レベルの腹部大動脈に高度石灰化狭窄を認め、腎動脈エコーでは左腎動脈の血流検出不能であった。当初は尿量は保持されており、かかりつけでのCr値推移からも、CKDにvolume reductionとサンゴ様大動脈(Coral reef aorta)による高度腎血流低下が加わって急性腎障害(AKI)を来し、心不全増悪の主因となったと考えられた。血行再建による腎機能回復、高血圧、及び心不全改善を期待し、ECUM導入9日後に当院へ転院となった。