従来より、左室駆出率(LVEF)の低下した日本人の心不全(HFrEF)患者の突然死率は、欧米の患者と比較して低率であると考えられていた。しかし、2022年に発表されたHINODE研究1)において、一次予防を目的に植込み型除細動器(ICD)や両心室ペーシング機能付き植込み型除細動器(CRT-D)の植込みを受けた日本人患者の心室性不整脈による死亡率は、欧米人を対象とした無作為化試験での死亡率と同等であることが報告された。
第87回日本循環器学会学術集会の会長企画シンポジウム「心不全治療としてのリズムマネジメントを識る」にて、HINODE研究の筆頭研究者である水戸済生会総合病院の青沼和隆氏からは、HFrEF患者におけるICD/CRTを用いた治療のエビデンス、そして、本邦における課題について発表された。