加齢や糖尿病などによる腎不全症例では、高カリウム血症の発症リスクが高まります。また、ACE阻害薬やARB、抗アルドステロン薬、MRAなどの薬剤の副作用として現れることもあり、重度の高カリウム血症は不整脈を来し、死亡に至る可能性もあります。今回は、新たな治療薬として登場したジルコニウムシクロケイ酸ナトリウムについて、有効性や問題点をまとめていただきました。
高カリウム血症の管理は、循環器疾患においても高齢化に伴う腎機能低下、そして心不全に対するガイドラインに基づいた薬物療法の推進により、治療介入を要する症例が増加しています。このような症例において治療選択肢となり得る、わが国では約半世紀ぶりの新規経口高カリウム血症治療薬であるジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム(ロケルマ®)が2020年5月に発売されましたので、既存の治療薬との違いについて考えてみたいと思います。
即効性という特長
まず、有効性についてですが、この薬剤の長所は経口薬でありながら効果発現が速いことです。従来のポリエチレンスルホン酸製剤では、効果発現までに時間を要する上に個体差もある1) ことから、状況によっては注腸投与も行われていましたが、ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウムは内服後1時間で血清カリウム値の低下が認められており2) 、この点については今後わが国でも発売される予定のpatiromerと比べても優れているようです1) 。