COURAGE試験で、安定冠動脈疾患患者においてPCIは至適薬物療法と比較して死亡/MIを抑制しないとの結果が示され、血行再建の有効性が疑問視されることとなった。また、近年、ORBITA試験からは、至適薬物療法を受ける安定狭心症患者において、PCIはプラセボ手技と比較し運動時間を改善しないとの結果が報告された。
一方で、FAME 2試験からは、安定冠動脈疾患患者において、FFRガイドのPCIは薬物療法のみと比較しイベントを抑制することが示されており、本邦においても診療報酬算定要件に機能的虚血診断が義務付けられるようになった。
このような背景のもと実施された試験がISCHEMIA試験である。本試験は中等度以上の虚血が認められた患者において、早期の侵襲的治療戦略は薬物療法で管理する保守的治療戦略と比較し、イベントを抑制するとの仮説のもと実施された。しかしながら、AHA Scientific Sessions 2019で発表されたISCHEMIA試験では、侵襲的治療戦略により、心血管死、MI、不安定狭心症/心不全による入院、心停止後の蘇生の複合イベントのリスク抑制は認められなかった。
TCROSS NEWSでは、ISCHEMIA試験の結果を受け、Physiologyに造詣の深い岐阜ハートセンターの松尾仁司氏に意見を伺った。