ESC Congress 2021のHotlineセッションで発表され、The New England Journal of Medicine誌に同時掲載されたENVISAGE-TAVI AF試験では、14ヶ国の173施設よりTAVRが成功した経口抗凝固薬の適応を有する心房細動患者が登録され、1,426人がエドキサバン群、又はVKA群に無作為化されました。本試験には日本から18施設が参加しましたが、製薬会社がスポンサーする介入試験であることから本邦では臨床研究法の範疇に入り、臨床試験の実施において、法的責任も含め個人の医師の責任範囲が非常に広いものとなりました。
2018年4月の臨床研究法施行以降、「未承認・適用外の医薬品等の臨床研究」と「製薬企業等から資金提供を受けた医薬品等の臨床研究」が特定臨床研究に分類され、違反した際に罰則規定が設けられたほか、利益相反管理の厳格化が進められました。しかし、同法の適用範囲には明確でない部分があり、対応するための実務環境の整備が十分に行われているとは言いにくい状況にあります。実際、同法の施行後に非営利的な臨床研究の実施数が大幅に減少していること1)が示すように、臨床研究の実施において高いハードルとなっています。
今回、このような大規模試験をグローバルの主要施設と共に成功させた帝京大学の渡邊雄介氏に、臨床研究法の範疇に含まれる臨床試験の開始から終了に至るまでの舞台裏をお話しいただきました。